ファッション雑貨 2004年1月号

ファッション雑貨 2004年1月号

ファッション雑貨

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おもちゃは親子間の小道具です
育児の舞台の伝道師目指す

葉佐商品研究所(葉佐弘明社長)は十二月度「グループ83・12月期東京例会」を開催したが、今回はゲストスピーカーに愛知県知多市の『遊育玩具店・ディーズナーサリー』オーナー、廣島大三氏を迎え、同氏が経営する”赤ちゃんのおもちゃ専門店”の概要や考え方が発表された。 同氏自らの育児体験やショップ経営の中から生まれた指摘が数多く紹介され、とかく、一人勝ちがささやかれる玩具業界の中で、新しいムーブメントが感じられたので今月号で是非紹介してみたい。

廣島氏の自己紹介によると、もともと大学で児童心理学を学び、玩具の世界と因縁が無かったわけではないが、卒業後は米国のマリン用品メーカーに就職。その後、結婚、第一子誕生と来て、渡米の祈り、 お子さんに米国の「発達系のおもちゃ」をおみやげに買って帰ったのがきっかけで「育児の楽しみ」に目覚め、第二子誕生と前後して独立、現在は、ショップオーナー兼一歳と五歳の子供を育てるパパとして活躍中。その様子は、自店のホームページで紹介され続けている。

赤ちゃんは一人で遊ばない

グループ83のスピーチでは「赤ちゃんを育む発達おもちゃと育児を楽しむ遊び」と題し、育児を楽しくするおもちゃを提供するおもちゃ屋になりたいという考え方が紹介された。

まず、概論としての<育児、おもちゃ、発達>の話では、育児体験から「赤ちゃんは独りでは遊ばない」発見を披露。つまり、大きくなってから一人遊びを覚えるのであって赤ちゃんのうちは親が関わることで、遊ぶことを学んで行くと廣島さん。

だから、親(とくに父親)は、おもちゃをコミュニケーションの道具として、子供と至福の時間を過ごすこと、また、おもちゃによって育児参加へのモチベーションが上がると述べた。ちなみに育児は同氏にとって「幸せを得られた」ベスト1の項目という。

発達については、人間の「発達」を考える時、0歳から3歳までの乳幼児期はもっとも重要で、八割方人間形成が終るとし、おおきくなって「キレル」子は、この時期に何らかの欠如があるからと述べた。そしてまた、発達が分かっていれば、いたずらな教育ママにならなくても済むと廣島氏。

次におもちゃについては、ディーズナーサリーは「今までに無かった」ベビー専門のおもちゃ屋としての立場から、「赤ちゃんは自分でおもちゃを選ばない」から、乳幼児のおもちゃ選びは親のこだわりの見せ所と述べた。

体験からの話、説得力生む

以上の概論の次に、廣島氏はさらに各テーマの詳細に触れた。

まず、<育児とおもちゃ>の項では、赤ちゃんが遊ぶということは、両親との心のつながりのこと。この遊びがないと将来危険。また、赤ちゃんがムズカルのは、「おしめ、食、寝ぐずり」の三大欲求の他、刺激を求めて、ムズカルことがままあること。やはり、親は関与してやらなくてはならない。 そして、赤ちゃんが、遊びを通じて人と関わり、色んな人に遊んでもらう第一歩はおもちゃ。保育園の保母さんが乳幼児に接近するワザが上手なのは、おもちゃ使いが上手だからと述べた。

次に<乳幼児期の発達とおもちゃ>では廣島さん推薦のおもちゃと一緒に説明。

まず、赤ちゃんの発達チャートを四つの時期で紹介。

①新生児期(0ヶ月から6ヶ月)
今まで目が見えていない時期と言われていたが、同氏の”実験”では、シンプルな図形(三角、四角、笑顔)は目で追うという。また、白・黒・赤の高いコントラストの配色のおもちゃも注視。パステルは今までの常識に反して見えない。これも廣島氏の創見。

②おすわり期(6ヶ月から12ヶ月)
両手がフリーに。両の手でガチャガチャ遊びができる。だからガラガラは一才位で良いと。

③よちよち歩き期(12ヶ月から18ヶ月)
手先が器用、歩ける喜び。お人形でジッパー降ろし、ボタン外しができるようになることを実物を使って説明。

④おしゃべり期(18ヶ月から36ヶ月)
仕掛け付きの布絵本などで対話をする

次に発達の種類として五分野を説明。

感覚器発達
五感の発達で、布の触感(ふさふさ、つるつる)などを人形で。赤ちゃん時は、子宮内の音に似ているというクシャクシャ音が好き。スーパーのビニール袋をクシャクシャさせると、大半の夜泣きが止むとTVでも放映

言語発達
言葉は生まれた時から発達すると廣島氏。従って「泣く」のは言語のひとつだから親は答えてあげないと、言葉が発達しないという。

運動発達
手先の運動にとくにおもちゃが有効

社会性発達
これはおもちゃではどうにもならないそうだが、まず両親との対話が大事だという。

認知力発達
問題解決能力のことで、押すと音が出るおもちゃなどを通じ理解する力を養う。

お勧めは布製おもちゃ

次に、<赤ちゃんは、自分でおもちゃを選ばない>項では、おもちゃ選びは親の大切な役目として、①小さい頃は遊び方を限定しないシンプルなもの(ガラガラ等)が良く、②また、一歳位までは布製など安全なおもちゃはいいと述べた。③さらに、乳幼児期は、発達に合ったおもちゃこそが楽しいおもちゃであるとしている。

つまり、三才以前は、発達に合うおもちゃで、親との対話を生むおもちゃが大事。三才以降なら、キャラクターや流行、性別、スキルを磨くおもちゃ、家族で楽しむ(ルールを求め始める)ゲーム性のあるおもちゃなどに移行して行く。

廣島氏の造語”遊育玩具”

廣島氏はこの後、親の育児に関するストレス(隣の子との比較など)に触れた後、まとめとして、同氏の考え方を述べた。

まず、同店の冠になっている”遊育玩具”とは、「遊んで育む」おもちゃで、同氏の造語。三才以降の「知育」をイメージしていないという。そして、赤ちゃんの好奇心を満たし、五つの感覚の発達を促す、バランスのとれた土台を作るのが遊育玩具という。

また、同氏にとって、おもちゃは主役でなく、演劇に例えるなら小道具。主役は赤ちゃんと両親で、さらに「ディーズナーサリー」は、その育児スタイルを売る店、楽しい時を過ごすスタイルを売る店だという。

「おもちゃは、その考えに共感して頂くお客に買ってもらいたい」、また、「育児という舞台で活動する伝道師になりたい」というのが廣島氏の考えと、スピーチを括った。

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