そのような状況で、このまま「良い玩具」を発掘し続け、それを輸入していても、同じことの繰り返しではないかと、私は次第に思うようになりました。それが、「それなら、自分が理想の玩具を作ろう!」と思うに至ったきっかけでした。
そして、まず手始めに、私がもっとも思い入れている「プレイジム」を作ろうと決めました。幸いにも、私は、大手メーカーの玩具開発のコンサルタントをしているので、開発については、お手の物でした。しかし、製造拠点については、見当もつきませんでした。
そこで、当時コンサルティングをさせていただいていた大手玩具メーカーさんに、小ロットでも対応してもらえる工場を紹介してもらいました。「これで、理想のプレイジムが作れる!」とワクワクしたのを覚えています。
しかし、そう簡単にはいきませんでした。工場で製品を作る際には、必ず「最低発注ロット」というものがあります。つまり、その数量以下で発注しても、金額は変わらないラインがあるのです。たとえば、最低ロットが1000個の商品の場合、500個注文しても1000個注文したのと同じ金額がかかるのです。つまり、原価は2倍となります。
私がお願いしたプレイジムの最低ロットは、なんと「6000個」でした。私が考えていたのは、たったの1000個。つまり、原価は6倍に跳ね上がります。そこで、今度は、インターネットを駆使して、もっと小さいロットで作ってくれる工場を探しました。しかし、結果は同じです。6000個か6倍かの違いだけでした。
プレイジムは、通常1万円前後です。私が作ろうとしているプレイジムは、1000個で作れば、およそ6倍のコストがかかりますので、どう計算しても、3万円以下にはなりません。私は、諦めざるを得ませんでした。こうして、「理想のプレイジムを作るプロジェクト」は暗礁に乗り上げてしまいました。
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